近年、所有者が不明の土地が国土の20%に上っており、大きな問題となっています。そこで、所有者不明の土地の問題の解決を目的として民法の改正が行われ、2023年4月に施行されました。

改正点はいくつかありますが、主に所有者不明土地の利用・管理を行いやすくするため諸制度(共有制度・財産管理制度など)の見直しが行われ、所有者不明土地を利用しやすくなるような改正がなされています。

今回の改正の中で、まずは身近な問題となりやすい「越境した枝を自ら切除できる権利の創設」についてお話したいと思います。

改正前の民法では、隣地の竹木の枝が越境してきた場合にも自ら切除することはできず、越境した竹木の所有者に切除させる必要がありました。しかし隣地所有者と不仲で切除に非協力的な場合、隣地の人の行方が分からない場合などには、隣地所有者に切除させることが非常に困難であるなどの問題がありました。そこで今回の改正では、越境された土地の所有者は、越境した枝を自ら切除することができるようになりました。

以下の条件を満たせば、隣地の所有者が枝を切るのを待っていないで、自分で切ることが出来るようになりました。

1 竹木の所有者に「枝を切ってほしい」と言っても切除しないとき

2 竹木の所有者を知ることができず、又は所在を知ることができないとき

3 木が今にも倒れそう等、急迫の事情があるとき

そして、隣地の竹木が数人の共有であったときには、各共有者は、他の共有者の同意等を得ることなく単独でその枝を切り取ることができることとなりました。これにより、竹木が越境してきて困っている土地の所有者は、竹木の共有者の1人から承諾を得れば、その共有者に代わって枝を切り取ることができます。

また、承諾を得られない場合でも、竹木の共有者の1人に対しその枝の切除を求める裁判を提起し、その切除を命ずる判決を得れば、代替執行が可能となります。

私の自宅の隣も所有者不明の空き家で、現在廃墟になっています。登記簿等で所有者を探してみて、もし連絡が付かなければ竹木を切り倒してやろうと考えています。