土地の調査や境界確認をしていると、時々「赤道(せきどう)」「里道(りどう)」「青道(あおみち)」という見慣れない言葉に出会います。これらはすべて、「法定外公共物(ほうていがいこうきょうぶつ)」と呼ばれる特殊な土地です。


法定外公共物とは、道路法や河川法などの法律で定められた管理対象ではないけれど、昔から地域で公共の目的(通行や排水など)に使われてきた土地のこと。明治時代には旧内務省が管理しており、その後は各市町村に引き継がれています。


たとえば赤道は、主に田畑のあいだを区切るための農業用の通路。昔の公図では赤く着色されていたことから「赤道」と呼ばれるようになりました。里道は、村の人々が通勤・通学・買い物など日常生活のために使っていた道です。こちらも赤色で表示されることが多いのですが、用途の違いで赤道と区別されます。


一方、青道は水路のこと。用水路や排水路など、水を流すための土地で、公図では青く塗られていることが多いため「青道」と呼ばれています。暗渠(地中に埋まっている水路)となっていて、見た目では気づかない場合もあります。


これらの土地は登記がされていないことが多く、法務局の登記簿には載っていません。そのため、地番も存在せず「所有者不明土地」と見なされることもありますが、実際には市町村や関係機関が管理しており、「用途廃止」が認められた場合には、隣接する土地の所有者が「払下げ申請」を行って取得することが可能です。


特に、建築予定地に赤道や青道がかかっていると、建築確認が通らなかったり、売買・分筆ができなかったりすることもあるため、不動産取引や土地活用の現場ではとても重要な要素となります。


見た目にはただの空き地や細道、水路跡にしか見えないこれらの土地も、じつは法的にしっかり位置づけられた「公共物」。土地にまつわる知識として、ぜひ覚えておきたいですね。