● 地役権とは

 

 

一定の目的の範囲内で、他人の土地を自分の土地のために使用できる権利のことです。

地役権は民法で定められており、様々な目的で設定することができます。

 

 

 

地役権はそれぞれの土地所有者の合意のもと設定され、具体的な有効期間の設定も双方が合意し決めます。一般的には、期間が定められない場合は無期限とされることが多いですが、契約内容によって変わります。

 

 

地役権の設定登記をすることで物権を主張できるため、当事者間で合意したのちに登記を行うのが一般的です。

 

 

つまり、土地所有者が売買などで変わった場合に、要役地・承役地とも有効期限内であれば引き続き設定されている内容を順守しなければならない為、「土地の所有者が変わったから通行できなくなる」あるいは「今まで通行料をもらっていたのに支払われなくなった」といったトラブルを防ぐことができます。

 

 

地役権を設定するとその土地の使用料がかかるケースが一般的ですが、特に金額の定めはないので、なかには無償のケースもあります。

 

 

 

● 要役地と承役地

 

地役権では、便益を受ける側の土地を「要役地」、便益を与える側の土地を「承役地」をいいます。

 

 

 

● 地役権の種類

 

‣ 通行地役権

 

自分の土地に行くために他人の土地を通行する権利。

 

※似たものに囲繞地(いにょうち)通行権があります。地役権とは性質に違いがあり、民法で定められた最低限の権利です。土地に登記がなくても認められています。

 

 

‣ 用水地役権

 

用水路から自分の土地まで水を引くために、他人の土地を利用する権利。

 

 

‣ 送電線地役権

 

電力会社が、高圧線を通すために他人の土地を利用する権利。

 

 

 

‣ 日照地役権、眺望地役権

 

日当たりを確保するため、眺望を確保するために他人の土地に一定以上の高さの建物の建築を制限できるほか、土地の一部に工作物を設置することを制限できる権利。

 

 

 

 

● 地役権の登記方法

 

地役権の登記申請は、一般的に要役地の所有者と承役地の所有者が共同で行うことになります。

当事者間で申請することも可能ですが、専門知識のある司法書士に手続きを依頼するとスムーズかつ確実です。

 

 

● 地役権の登記事項(不動産登記法第80条1項)

 

‣ 要役地

‣ 地役権設定の目的

‣ 地役権設定の範囲

 

 

 

● 登記に必要な書類

 

‣ 登記原因証明情報:地役権設定契約書など

‣ 登記識別情報または登記済証:登記名義人の本人確認書類(承役地所有者のもの)

‣ 印鑑証明書:承役地所有者のもので、発行3か月以内のもの

‣ 地役権図面:承役地のどの部分が地役権の目的となっているか示した図面

‣ 委任状(代理権限情報):申請情報と代理人の権限を証明する書類(司法書士に依頼する場合必要)

 

 

 

地役権図面の作成は、土地家屋調査士や司法書士に依頼するのが一般的です。

承役地の一部ではなく、すべてに地役権を設定する場合は、図面の作成及び提出は不要です。(確認の必要がないため)